次の文章は、衆議院議員選挙の効力を争ったある高等裁判所の判決の一節である。この判決について述べた文章として正しいのはどれか。
被告は、本件選挙は衆議院解散権の行使によるものであるところ、このような選挙については、投票価値の較差を是正したうえで、これを行うかどうかは立法政策の問題である旨主張する。
本件選挙が内閣の解散権行使に基づくものであることは、公知の事実であるが、前記の較差是正を行うべき合理的期間は、選挙権の平等を害するような較差を生ぜしめる議員定数配分規定がその間において、改正されることを合理的に期待し得るに足る期間なのであるから、右期間を経過した以上、右規定は、憲法に違反するものと言わざるを得ないのであり、右期間経過後に行われる選挙の効力については、それが内閣の解散権の行使によるものであっても、法律上、他の事由に基づく選挙と異なった取り扱いをすべき理由はない。その結果として内閣の解散権が事実上制約されることが起こりうるとしても、それは事柄の性質上やむを得ないものであり、以上とは逆に、内閣の解散権を確保するために違憲の選挙法規の効力をあえて承認するような法解釈をとることは、本末を転倒するものとのそしりを免れないであろう。(東京高判昭和59年10月19日行集35巻10号1693頁以下)
1、この判決は、内閣の解散権の前提として、衆議院での内閣不信任案の可決が必要的だという立場に立っている。
2、内閣の解散権行使の結果行われた選挙について、その無効を争う選挙訴訟は、三審制であって、本件は、控訴審判決である。
3、この判決は、政治上の必要があれば、本件のような事案で、内閣が解散権を行使しても、総選挙は適法だという立場に立っている。
4、本件訴訟は、公職選挙法の定める選挙訴訟として行われているので、いわゆる機関訴訟の一形態として位置づけられるものである。
5、この判決は、現時点では、既に改正に必要な合理的期間を徒過しており、判例によれば、当該議員定数配分規定は違憲だという立場に立っている。
胡桃「これも国語の問題だわ。かなり簡単だわね」
建太郎「ああ。ごちゃごちゃ書いてある割にはな」
胡桃「長文を読ませて、時間を消費させようとする出題者の意図が読み取れるわね」
“憲法1-47 統治 総合問題 2011年問7 / 行政書士試験の勉強は、開業の準備をしてから始めよう” の続きを読む